
「よく眠れた日は、朝から調子がいい気がする」。そう感じたことがある方もいると思います。その感覚を、実際に数字で追いかけた研究があります。
働く人106人に、10日間の勤務日、1日4回ずつ「いまのエネルギー感」を答えてもらった研究です。結果は、よく眠れたと感じた日は朝からエネルギーが高い。ただ、そこから午前中にかけての伸びは、むしろ小さかった、というものでした。
この記事では、この研究で分かったことと、まだ分かっていないことを分けて紹介します。
よく眠れたと感じた日は、朝のエネルギーが高かった
この研究では、同じ人の「日ごとの違い」を見ています。ある人にとって、いつもよりよく眠れたと感じた日は、そうでない日と比べて、朝の時点でのエネルギー感が高かったと報告されています。
1日の流れで見ると、エネルギー感は朝から上がっていき、昼ごろにいちばん高くなり、その後は下がっていく形でした。山なりのカーブです。
ただし、午前中の「伸び」はむしろ小さかった
面白いのはここからです。よく眠れた日は朝のスタート地点が高いぶん、そこから昼にかけての上がり幅は小さくなっていました。

すでに高いところから始まるので、伸びしろが少ない、ということです。よく眠れた日は「朝から一気に上がり続ける」というより、「最初から高めの位置にいる」と受け取るほうが、研究の結果に近い読み方になります。
この研究で分かっていないこと
この研究には、読むときに押さえておきたい条件があります。
- 「睡眠の質」は本人の感覚です。睡眠時間や深い睡眠を機器で測ったものではありません。ウェアラブル端末の睡眠スコアや、深い睡眠の量についての結論には使えません。
- 因果関係は分かっていません。観察した研究なので、「睡眠を良くすればエネルギーが上がる」とまでは言えません。著者自身も、どちらが原因なのかは確定できないと書いています。
- 対象に偏りがあります。ドイツの大学で心理学を学びながら週20時間以上働く人が中心で、約8割が女性、平均年齢は34.5歳でした。ほかの年代や働き方の人に同じ結果が出るかは、この研究だけでは分かりません。
生活の中でどう受け取るか
この研究から言えるのは、「自分でよく眠れたと感じる日は、朝の調子が高めになりやすい」という、日ごとの傾向までです。
ここで大事なのは、比べているのが他人ではなく「その人自身のいつもの日」だという点です。平均的な人と比べて眠れているかどうかではなく、自分にとっていつもより眠れたかどうか。その感覚と朝の調子が一緒に動いていた、という研究です。
なので、試してみるとしたら、1週間ほど、起きたときに「よく眠れた感じがするか」と「午前中の調子」を、一言ずつメモしてみることです。自分の中でも同じような傾向があるのか、それとも関係なさそうなのか。研究の平均的な結果とは別に、自分の記録を見るのが、自分に当てはまるかどうかを知るいちばんの手がかりになると思います。
研究の概要
- 対象:就労者106人(女性81.9%、平均34.54歳)
- 方法:10勤務日のあいだ、1日4回の自己申告(合計2,552回の回答)
- 見たもの:同じ人の中での、日ごとの睡眠の質(本人の感覚)と日中のエネルギー感の関係
- 主な結果:エネルギー感は昼ごろをピークとする山なりの推移。睡眠の質が本人の通常より高い日は、朝のエネルギー感が高く、午前中の上がり幅は小さかった
- 掲載:Journal of Business and Psychology(査読済み)
- 出典:https://link.springer.com/article/10.1007/s10869-026-10144-w
※統計の詳しい数値や研究資金の出どころは、論文の購読部分にあり、この記事では確認できていないため記載していません。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の効果・効能を保証するものではありません。感じ方には個人差があります。
著者:古川鉄兵(アーシング研究家/riraku-life 代表)
