自重トレーニングをしてから走ると、その日のタイムはどう変わるのでしょうか。男女16人のランナーを調べた研究では、自重サーキット直後のインターバル走は、走るだけの条件より合計タイムが約5%遅くなりました。
筋トレもランニングも続けたいとき、順番をどう組むか。その日の練習で何を大切にするかを考える、具体的なヒントになる研究です。測ったのは直後1回のインターバル走で、長く組み合わせて続けたときの成果を調べたものではありません。
自重サーキットの直後はタイムが遅く、走る「準備感」も低下
結果を先にまとめます。
- 合計走行時間:自重運動ありで339.9秒、なしで325.1秒。自重運動のあとのほうが遅く、偶然とは考えにくい差でした(p<0.01)
- 運動への準備感(本人が答えた主観の評価):自重運動ありで5.8、なしで7.5。自重運動のあとのほうが低く、こちらも偶然とは考えにくい差でした(p<0.05)
- 心拍数ときつさの感じ方(RPE=主観的運動強度):2つの条件で有意な差はありませんでした
- 男女差:自重運動によるタイムへの影響に、統計的に有意な男女差は確認されませんでした
本人が感じるきつさや心拍数には差が出なかった一方で、タイムと準備感には差が出た、という結果です。
どんな試験だったのか:同じ16人が「自重運動あり・なし」の両方で走った
研究は、査読を経て学術誌Sport Sciences for Healthに掲載されたものです。
- 対象:趣味で走っているランナー(レクリエーショナルランナー)16人。男性8人・女性8人
- 方法:ランダム化クロスオーバー試験。同じ人が「自重サーキットあり」と「なし」の両方の条件で走り、その結果を比べる方法です
- 走った内容:200mを8本、1本ごとに90秒の回復を挟むインターバル走。決められたペースではなく、自分のペースで走る方式です
- 自重サーキット:4種目×3セット。各種目15秒を全力で行い、45秒休む形です
別々の人のグループを比べるのではなく、同じ人の「あり」と「なし」を比べているのが、この試験の形です。
この試験で分からないこと
測ったのは、自重運動の直後の、その1回の走りです。次のことは、この試験からは分かりません。
- 自重運動とランニングを長く組み合わせて続けたときに、体がどう慣れていくか(トレーニングへの適応)
- 筋力や持久力への影響
- 健康への効果
- 自重運動と走る時間の間を何時間空ければよいか(間隔を変えた比較はしていません)
そのため、「筋トレとランニングを同じ日に行うべきではない」「長く組み合わせるトレーニングは良くない」とは言えません。対象は16人と少なく、より大きな研究での確認もこれからです。
著者自身も、次の限界を挙げています。
- 自分のペースで走る方式に慣れるための練習期間を設けていなかった
- 自重運動のあとの疲れを、直接は測っていない
- 準備感をたずねたこと自体が、参加者の走りへの期待に影響したかもしれない
走る日の組み立てに、どう使えばいいのか
決め手になるのは、その日の練習で何を一番大事にするかだと思います。まず、自分の予定がこの研究と近いかどうかを、次の2つで見てみてください。
- 研究と同じ組み合わせか:自重サーキットのすぐあとに、インターバル走のような速く走る区間のある練習をする予定か
- その日に一番大事なのは何か:インターバル走のタイムか、両方をこなすことか
研究と同じ組み合わせの人は、目的に合わせて次のように考えられます。
- その日のインターバル走でタイムを出したい日:この試験では、自重サーキットの直後のほうが合計走行時間が長く(遅く)なった、ということを頭に入れて予定を組む
- 両方をこなすこと自体が目的の日:直後のタイムが落ちることがあると分かったうえで組む。この試験が測ったのは直後の運動パフォーマンスで、健康効果や長く続けたときのトレーニング適応は調べていません
もう一つ、自分で確かめる方法もあります。いつも走っているインターバル走のタイムを、自重運動をした直後の日と、しなかった日で記録して並べてみることです。研究の16人と自分が同じとは限らないので、自分の記録で見ることが手がかりになります。
記録を取っておく理由はもう一つあります。この研究では、きつさの感じ方や心拍数には差が出なかった一方で、タイムには差が出ていました。感じ方だけでなくタイムも数字で残しておくと、両方を並べて比べられます。
出典:Lanzarini LDV ほか(2026)「Bodyweight exercises can acutely impair self-paced interval running performance in male and female runners」Sport Sciences for Health 22, 334. DOI: 10.1007/s11332-026-01927-y.
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の効果・効能を保証するものではありません。感じ方には個人差があります。
