座っている時間が一番長いのは大学生?Oura Ringで1,967人を測った研究から考える1日の過ごし方

「年をとるほど、座っている時間が長くなる」。なんとなく、そう思っていませんか。

ところが、指輪型のウェアラブル端末「Oura Ring」で1,967人の生活を4週間記録したシンガポールの研究では、逆の結果が出ています。いちばん長く座っていたのは高齢者ではなく、平均19.9歳の大学生でした。

この記事では、研究で分かったことと、まだ分からないことを分けて紹介します。そのうえで、自分の1日の「座る・動く・眠る」をどう見直すかを考えます。

いちばん座っていたのは大学生、いちばん動いていたのは高齢者

研究では、3つのグループがそれぞれOura Ringを4週間着けて過ごしました。1日あたりの平均は次のとおりです。

  • 大学生(500人・平均19.9歳):座位 633.89分/身体活動 320.28分/睡眠 431.75分
  • 就労年齢(437人・平均41.1歳):座位 581.28分/身体活動 346.55分/睡眠 445.77分
  • 高齢者(1,030人・平均74.0歳):座位 500.86分/身体活動 420.28分/睡眠 455.62分

大学生は、座っている時間が3つのグループの中で最も長く、身体活動と睡眠は最も短い結果でした。高齢者はその反対で、座っている時間が最も短く、身体活動と睡眠は最も長くなっています。

大学生と高齢者の座位の差は、1日あたり約133分。2時間以上です。

著者らも結論で、年齢とともに不活動になるという従来の想定に異を唱える結果であり、若い成人期こそ見過ごされてきた対象だ、という趣旨を述べています。

「30分を入れ替えたら」という計算も出ている

この研究では、1日の24時間を「座位・身体活動・睡眠」の組み合わせとして扱い、ある時間を別の時間に置き換えたらどうなるかを統計モデルで推定しています。

  • 1日30分を身体活動へ再配分:BMI −0.13kg/m²、BRI(体の丸みの指標)−0.04、PWV(血管の硬さに関する指標)−0.05m/s
  • 1日30分を座位から他へ再配分:BMI −0.28kg/m²、BRI −0.07
  • 1日30分を睡眠へ再配分:BMI −0.21kg/m²、BRI −0.05

数字だけを見ると、座る時間を減らす計算のほうが、BMIの推定値の変化が大きくなっています。

ただし、ここは読み方に注意が必要です。これは「時間を入れ替えた場合」を数式で当てはめた推定値です。実際に30分運動を増やしたり、座る時間を減らしたりした人のBMIが、この数字どおりに変わることを確かめたものではありません。また、変化の幅そのものも、30分あたりBMIで0.1〜0.3程度と小さな値です。

この研究で言えること、言えないこと

観察研究なので、原因と結果は分からない

この研究は、ある時点の生活と体の指標を並べて見た観察研究です。介入試験ではありません。「座っている時間が長いから指標がこうなった」という因果関係までは示していません。各推定値のp値や信頼区間も、公開されている要旨では確認できませんでした。

この研究で言えること、言えないこと

Oura Ringの精度を確かめた研究ではない

Oura Ringで測ったデータを使った研究ですが、Oura Ringの測定がどれくらい正確かを検証したものではありません。「Ouraで測ったから正確」という話にはならない点も、分けて考える必要があります。

研究者とOura社の関係

著者の1人(Michael W. L. Chee氏)はOuraring Inc.のmedical advisory boardのメンバーで、ほかにOura社とNUS(シンガポール国立大学)の共同ラボのメンバーである著者も含まれています。論文では、この研究は共同ラボとは独立して、NUS単独で設計・資金提供・実施したと明記されています。

資金提供元は、NUS Centre for Sleep and Cognition、Lee Foundation、シンガポール国立医学研究評議会(National Medical Research Council)です。研究はNUSの倫理審査委員会の承認を受けています。

こうした関係があること自体で結果が否定されるわけではありません。ただ、読む側としては知っておいたほうがよい情報なので、あわせて載せています。

自分の「座る・動く・眠る」を一度並べてみる

この研究から生活に持ち帰れることがあるとすれば、「若いから大丈夫」「年をとったら気をつければいい」という思い込みを、いったん外してみることだと思います。

研究の大学生は、座っている時間が1日10時間を超え、睡眠は3グループで最も短い結果でした。なぜそうなるのかまでは、この研究では分かっていません。ただ、座っている時間の長さは年齢だけでは決まらない、ということは言えそうです。

見直すときは、「運動を足す」だけでなく、1日の24時間の中で何が何分あるかを並べてみるのが、この研究の見方に近いやり方です。

スマートウォッチや指輪型の端末、スマホの歩数記録などを使っている方は、まず1週間分の「座っている時間」と「睡眠時間」を見てみてください。そのうえで、座っている時間のうち30分を、立って過ごす・歩く・早めに寝る、のどれに置き換えられそうか考えてみる。研究の推定値はあくまでモデル上の数字ですが、自分の1日の配分に気づくきっかけにはなります。

研究の概要

  • 対象:シンガポールの3コホート計1,967人(大学生500人、就労年齢437人、高齢者1,030人)
  • 方法:Oura Ringを4週間装着。座位・身体活動・睡眠の時間と、BMI、BRI、PWV、複合血管健康スコアとの関係を解析(横断観察研究、compositional data analysis)
  • 主な結果:大学生が最も長く座り、身体活動と睡眠が最も短かった。高齢者は座位が最も短く、身体活動と睡眠が最も長かった
  • 掲載:BMC Medicine(査読済み・早期公開版)
  • 出典:https://link.springer.com/article/10.1186/s12916-026-05192-1

※各推定値のp値・信頼区間は、公開要旨で確認できなかったため記載していません。

※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、特定の効果・効能を保証するものではありません。感じ方には個人差があります。

著者:古川鉄兵(アーシング研究家/riraku-life 代表)